項目 |
解説 |
AMH
(抗ミュラー管ホルモン) |
卵巣予備能を調べる検査で、卵巣年齢検査ともいわれています。卵巣予備能(卵巣の中に残っている卵子の数)の評価指数とされています。ピル内服中の方は実際より低値になる可能性があります。
卵子は年齢と共に減少していくため、現時点での状態を知ることができます。
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TSH
(甲状腺ホルモン) |
甲状腺疾患の有無を調べる検査です。
甲状腺疾患があると生理不順や流産の原因となる場合があります。
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HBS(B型肝炎) |
B型肝炎ウイルスの感染を調べる検査です。
感染している場合は肝炎から肝硬変など肝臓の病気を発症する可能性があります。また、出産の時に、赤ちゃんへ感染する可能性があります。 |
HCV(C型肝炎) |
C型肝炎ウイルスの感染を調べる検査です。
現在日本では約100万人程度の感染者がいると考えられていますが、その中には感染がわかっていない人もいます。
慢性肝炎、肝硬変、肝がんなど肝臓の病気を発症する可能性があります。また、出産の時に、赤ちゃんへ感染する可能性があります。 |
HIV(エイズ) |
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染を調べる検査です。
ヒトの体を様々な細菌やウイルスから守る機能を免疫と呼びますが、HIVは、その免疫の働きを助ける役目を持つ細胞を破壊するウイルスです。
感染すると体の免疫力が低下して、健康な状態ではかからない様々な病気にかかりやすくなります。いくつかの代表的な病気があり、そのひとつでも発症した状態をエイズといいます。
出産時や母乳を介して赤ちゃんへ感染することがあります。 |
RPR・TPHA(梅毒) |
梅毒はトリポネーマ・パリーダムという微生物による感染症です。最近では潜在的な感染者が増えていると言われています。
流産や死産の原因になること、また胎盤を通じて胎児に感染すると先天梅毒を発症することがあります。
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風疹抗体検査 |
風疹に対する免疫の有無を調べます。妊娠中に感染すると、お腹の中の赤ちゃんが先天性風疹症候群(白内障や緑内障、先天性心奇形、感音性難聴)になることがあります。
検査の結果、抗体価が低い場合には、妊娠前にワクチン接種をしておきましょう。
※ワクチン接種後は2カ月間の避妊が必要です。 |
麻疹抗体検査 |
麻疹に対する免疫の有無を調べます。
妊娠中に感染すると流早産率が高くなると言われています。催奇形性に関しては否定的です。
抗体価が低い場合には、ワクチンの接種をおすすめします。 |
水痘・帯状疱疹ウイルス |
水ぼうそうに対する免疫の有無を調べます。
妊娠20週までに感染すると、2%が先天性水痘症候群(瘢痕性皮膚病変、小眼病、白内障、脳損傷、 四肢形成不全等)になると言われています。
また、妊娠中期~分娩前2週間に感染すると産後、乳児が帯状疱疹に罹患してしまう可能性があります。
抗体価が低い場合には、ワクチンの接種をおすすめします。 |
トキソプラズマ |
トキソプラズマは原虫であり、加熱の不十分な食肉やネコ糞便などを介して感染します。
健康な人が感染しても軽度の症状ですむ場合がほとんどですが、妊娠中に初めて感染してしまうと、流産、早産、胎児異常などの重篤な症状を引き起こす可能性があります。
ワクチンはありません。 |
パルボウイルス(B19) |
りんご病に対する免疫の有無を調べます。
小児を中心にしてみられる流行性の病気です。一度感染すると免疫(終生免疫)ができ、かからないといわれています。
パルボウイルは感染しても症状が軽いことが多く重症化はまれですが、妊娠中に感染すると胎児異常(胎児貧血、胎児水腫、あるいは胎児死亡)の可能性があります。
ワクチンや治療法が無いため、抗体がない方は妊娠中に感染しないことが大切です。
飛沫感染すると考えられているためマスク、手洗いなどの感染予防に努めましょう。 |
CMV
(サイトメガロウイルス) |
サイトメガロウイルスに対する免疫の有無を調べます。
妊娠中に感染すると、赤ちゃんが難聴等の障害を持って生まれてくる可能性があります。また、流産や早産の原因にもなります。
近年、免疫を持っているお母さんからも先天性サイトメガロウィルス感染児が生まれることがわかってきました。
免疫を持っているお母さんから生まれた子も産後、尿検査で感染していないか調べることが大切です。
免疫を持っていないお母さんは、乳幼児の尿や唾液になるべく触れないようにしたり、触れた場合は手洗いの励行に努める必要があります。 |
葉酸 |
葉酸は細胞が増殖(分裂)する為のとても大切なビタミンです。
胎児は盛んに細胞分裂をする為、たくさんの葉酸を必要としますが、葉酸が不足してしまうと胎児の神経や脳が形成不全を起こし、二分脊椎や無脳症になってしまいます。米国等では国を挙げて葉酸摂取を奨励し二分脊椎や無脳症の赤ちゃんが年々、減少していますが、残念ながら日本では葉酸摂取量が減少しており、二分脊椎や無脳症が増加しています。
さらに、葉酸はビタミンB6やB12とともにホモシステインという物質を代謝(解毒)し流産や早産、そのほかの妊娠合併症を予防する働きもあるようです。
食事で十分な葉酸を摂取できていない人は妊娠前から葉酸のサプリを飲みましょう。
また、葉酸が有効濃度に達するまでには、6週間以上かかるので(厚生労働省が推奨する400μg/日の摂取の場合)妊娠する前から、食物やサプリメントで摂取することが大切です。 |
ビタミンD |
日光浴で増加するビタミンです。現在の日本女性はほとんどのかたが不足しています。骨を丈夫にするビタミンということで知られていますが、実は、卵子の量を保つ(AMHの低下を予防する)、生理不順を改善する、流産を予防する、胎盤を作る、妊娠高血圧症候群を予防するなど妊娠にとってとても大切な役割があります。 |
血中脂肪酸分画
(AA.EPA.EPA/AA比) |
EPA(エイコサペンタエン酸)とAA(アラキドン酸)は体内で生産できない必須脂肪酸です。
EPA(エイコサペンタエン酸)は、イワシやサバなどの青魚に多く含まれる脂肪酸のことで、動脈硬化を抑制するなどの働きが確認されています。
一方AA(アラキドン酸)は肉や植物油に含まれるリノール酸から体内で合成される、またはレバーなどに含まれる脂肪酸のことで、血栓や炎症を引き起こし、動脈硬化を促進するように働きます。
血液中のEPAとAAのバランスのことを「EPA/AA比」といいます。
EPA/AA比が高い、つまり血液中にEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富な状態であると、動脈硬化が進展するリスクは低くなることが分かってきました。
しかし、肉や植物油などの食事が増えると、EPA/AA比が低くなります。すると、動脈硬化が進展し、動脈硬化による様々な病気の危険性が高くなってしまいます。 |
高感度CRP |
身体のどこかで炎症が起こると、値が高くなります。
癌や心筋梗塞等の、病気の発見やリスクの予測に活用することができます。
なお、高感度CRP計測を行うことで、通常のCRP測定よりも、より微量の炎症反応でも計測することができます。 |