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2024.09.25

自然流産は10~15%の確率でおこる、比較的多い症例です。妊娠12週までを早期流産、12~22週未満を後期流産といいます。
ほとんどの原因は、赤ちゃんの染色体の異常と言われています。お母さんのせいではありませんので、自分を責めないようにしてください。流産をしたからと言って、次の妊娠で流産しやすくなることもありません。

流産手術と自然排出

初期の流産の場合、流産の手術を行うか、自然排出を待つかの、どちらか選ぶ事ができます。

ただし、流産手術を行わずに経過を観察した場合、妊娠に伴う組織は子宮から自然に排出されてきますが、いつ起こるかは予測がつきません。

また組織が完全に排出されれば、流産手術を行わずに済むこともありますが、排出が不完全な場合には、出血や細菌感染のため結局流産手術と同じ処置が必要になる場合もあります。以上のことをご了承のうえで、自然の排出を待つ方もいらっしゃいます。


自然排出を待つ場合

出血が始まっている場合は、手術をせずとも、7割くらいの方は問題なく自然に排出します。(出血が始まってから早くて1〜2日、長くても1週間ぐらいの間に自然に排出します。)流産手術を行う場合と比較して子宮内感染の発症率、その後の妊娠率や流産率に関して差はありません。


メリット

手術や麻酔に伴う、子宮穿孔、麻酔のアレルギーなどのリスクを回避できます。

 

デメリット

排出物がいつ出てくるのかわからないので、今後のスケジュールが立てにくくなります。自然排出のとき、生理痛様の痛みが強かったという人もいますし、全然たいしたことなかったといあ人もいます。また、突然の大量出血や腹痛により、緊急入院・緊急手術となる可能性、それに伴う輸血の可能性が若干増えるようです。子宮筋腫や内膜症がある人は出血増加のリスクがあるので手術の選択をおすすめします。

 


完全流産と不全流産について

流産内容が完全に排出された状態のことを完全流産と呼びます。この場合は、子宮の状態が回復し、月経が戻るのを待ちます。

一方で、子宮内に一部が残留している状態を不全流産と呼びます。この場合は、子宮収縮薬や抗菌剤を内服してそのまま自然排出を待つか、流産手術で残りを取り除く必要があります。


流産手術を行う場合

手術は日帰りで行います。前日に細いスポンジを子宮の入り口に入れて、一晩かけてゆっくり子宮の入り口を拡げます。

吸引法で子宮内容を除去します。手術時間は5分程度で、静脈麻酔で行います。

術後は、麻酔から覚めた後も、合併症や異常所見の有無を観察します。退院診察後に帰宅となります。

排出された組織は病理検査を行い、胞状奇胎や子宮外妊娠でないことを確認します。(結果は術後1〜2週間後です)


 

費用

材料費や保険適応外検査以外は基本的に保険適応です。

3割負担でおおよその価格表記になります。

 

流産診断日

初診¥2500、再診¥1820

術前採血

¥5600

術前処置

¥8800

手術当日

妊娠11週未満¥21710、妊娠11週以降¥31040

手術翌日

¥5680

 

手術のメリットとデメリット

メリット

早く確実に、妊娠に伴う組織を子宮から排出させられ今後の予定が立てやすくなること、病理検査で胞状奇胎などの異常妊娠を発見することができるのがメリットです。

 

デメリット

流産手術や麻酔に伴う合併症を伴うことがあります。


起こりうる合併症とその対策

  • 1

    妊娠した子宮は柔らかいため、子宮頸管拡張や流産手術の際、まれに子宮穿孔(子宮に穴が開く)があります。

    子宮穿孔が確認されたときは、開腹手術など、輸血、子宮全摘、他臓器損傷の可能性があります。

    子宮穿孔により、次の分娩が帝王切開になる可能性があります。また、まれに腸や膀胱等、他の臓器に穴を開けてしまう危険性があります。

  • 2

    静脈麻酔の際、呼吸抑制、血圧低下、ショック、誤嚥(ごえん)などを起こすことがあります。

    その場合は、必要な薬物を投与して全身管理を行い、安全確保に努めます。

  • 3

    まれに、出血が多くなることがあります。

    子宮の収縮が不良の場合は、子宮収縮薬を投与しますが、出血が多量の場合には、開腹手術、輸血、子宮全摘の可能性があります。

  • 4

    術後に、子宮内に感染を起こす可能性があります。下腹痛と発熱があれば、入院して抗菌薬で治療することがあります。

  • 5

    子宮内容物は十分除去しますが、それでもまれに組織が残ることがあります。

    このために出血が続くようであれば、残った組織を再手術で除去することがあります。

  • 6

    合併症の治療や再手術、再検査などの場合も追加費用がかかることをご了承ください。


術後の注意点

  • 1

    手術後に、強い下腹痛と発熱、あるいは多量出血があれば、外来を受診してください。

  • 2

    手術翌日と2週間後に外来を受診していただき、術後の回復が順調かどうか診察します。

  • 3

    排出された組織は病理検査を行い、胞状奇胎などの病気でないことを確認します。

流産手術をお受けになられる方へ

  • お帰りの際はどなたかに付き添いをお願いしてください。難しい場合は、必ずタクシーでご帰宅ください。

  • 喘息のある方は、手術前にお申し出下さい。


  • 1

    手術では静脈麻酔をかけますので、当日 0 時以降は絶食としてください。(お茶・お水のみ朝 5 時・10時まで可能です。)

  • 2

    喫煙により手術中に窒息する恐れがありますので手術 1 週間前から禁煙してください。

  • 3

    8 時 30 分・13時 00 分に来院し、『手術同意書』を受付に提出して下さい。(この書類がないと処置できません)

  • 4

    手術は麻酔を含めて 30 分ぐらいの予定です。手術後は麻酔の影響が残っていますのでリカバリールームで2,3時間休んでいただき、退院診察で問題ないことを確認してご帰宅となります。水分は術後 2 時間以降、食事は 4 時間以降から可能です。

  • 5

    ご帰宅後も麻酔の影響が残っていますので安静にしてください。

  • 6

    本日と明日は、シャワーはかまいませんが、入浴はしないで下さい。

  • 7

    本日は夕食後に抗生剤(レボフロキサシン)を内服してください。また、痛みが強いときにはロキソニンを服用してください。

  • 8

    手術当日の帰宅後より抗生剤(レボフロキサシン)と子宮収縮剤を内服してください。子宮収縮剤は収縮痛が強い場合中止してもかまいません。また、痛みが強いときにはロキソニンを服用してください。

  • 9

    翌日の術後検診で順調であれば普通の生活で問題ありません。

  • 口紅・ファンデーション等のお化粧はなさらないで下さい。また、マニキュア・付け爪・アクセサリー・コンタクトは手術の時にはずしてください。

  • 手術当日は月経程度の出血があります。出血が多いときにはクリニックまたは夜間緊急連絡先へご連絡ください。

  • 熱や咳の出る風邪をひいていると麻酔がかけられません。症状が治るまで手術日を延期します。

  • 手術同意書・ねまき(上は半袖で)・生理用ショーツ・夜用ナプキン(大)・バスタオルをお持ちください。

 

2回以上の流産、死産を繰り返した場合、不育症の検査を検討しましょう。

診療時間

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  • 休診日日曜・祝日・土曜午後
  • 当院は予約の方を優先して診療しています。
  • 受付時間平日9:20~13:00、14:20〜18:00、土曜9:20~13:00

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