東京都文京区、白山駅1分。女医在籍の産婦人科

淋菌は、クラミジアと同様、感染していても無症状の場合が多い性感染症です。無治療の場合、骨盤内炎症性疾患（Pelvic Inflammatory disease：PID）や肝周囲炎、不妊症の原因となります。

なお、クラミジアに感染している人の約10％が淋菌にも感染しているため、クラミジアを検査する際は淋菌も同時に検査します。

近年、日本国内で増加傾向にある性感染症です。梅毒は乾燥と熱に弱いため感染経路は全例性行為と言われておりコンドームの使用が大切です。胎盤を通して胎児に感染し胎児水腫や胎児の肝脾腫を引き起こす可能性があります。これから妊娠希望の方は感染しないよう注意することが大切です。また、梅毒に感染した方はHIV感染のリスクのため、HIVの検査も受けましょう

梅毒の潜伏期間はおよそ３週間ですが、男性の約29%、女性の約56%は症状が出ないと言われています。陰部や口などの局所感染から菌血症となり手のひらや足底の丘疹、体幹のバラ疹、頭髪の脱毛などの全身症状を引き起こし、さらに肉芽腫様の変化を得て晩期には感染力が低下すると言われています。また、25-60％は神経梅毒を引き起こすと言われています。検査は梅毒の病勢と抗体の有無を見る２種類の検査で判定します。感染初期は両方とも陰性になることが知られています。また、検査の精度が上がってきていて検査の解釈も変わってきているので注意が必要です。治療は従来はペニシリンの内服でしたが、長期間のため、途中でやめてしまう方が多く、2022年持続性ペニシリン注射が承認されました。ペニシリン注射は粘性が高いため、注射針が太い、アレルギーや発熱、数日後の薬疹などの副作用の可能性があります/p>

感染初期は発熱、咽頭炎、倦怠感、筋肉痛といったインフルエンザのような症状が出ることがありますが、数週間で症状が無くなり、約5～10年間、症状の無い期間が続きます。しかし、無症候期の間に免疫不全が進行し、エイズを発症します。検査による早期発見が重要です。

HIVは性交渉によって感染しますが、患者は年々増加傾向にあり、その分、感染する可能性も高まっていると言えます。また、性器に潰瘍や炎症性変化が生じる性感染症にかかっていると、HIV感染率は数倍高くなることが知られています。

非淋菌、非クラミジア（淋菌やクラミジアでない）尿道炎のほか、骨盤腹膜炎、流産、早産、不妊症の原因となる可能性がありますが、まだ明らかなことはわかっていません。潜伏期間は1～5週間程度で、淋菌に比べるとややゆっくり発症します。また、掻痒感などの症状も、淋菌に比べると軽度です。

抗生剤が効かない耐性菌が多くアジスロマイシンは７割、シタフロキサシンも７割効果がないと言われ、両方、効果がないことも１５％ぐらいあるようです。効果が認められない場合はグレースビットとビブラマイシンやミノマイシンなどを併用するほかなさそうです。

2022年マイコプラズマジェニタリウム検査が保険適応になりました

治療法

マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症の場合、アジスロマイシン（AZM）：1,000mg単回投与が検討されます。

また、日本で使用できる薬剤の中で、マイコプラズマ属への適応をもち、使用可能と考えられる薬剤がシタフロキサシン（STFX）です。マイコプラズマ・ジェニタリウム性尿道炎患者にSTFXを1回50mg、1日2回7日間投与で80％の有効率を示すと報告されています。また、1回量を増量し、1回100mg、1日2回7日間投与でも検討されていますが、その場合の有効率は100％であると報告されています。

ウレアプラズマが起因菌として疑われる場合でも、シタフロキサシン1回50mg、1日2回7日間投与で83.3％、1日2回7日間投与で87.5％の有効率を示します。

主に6型または11型のヒューマンパピローマウイルス（HPV）による性感染症です。国内では年間男女合わせて４万人が発症しています。４価あるいは９価の子宮けいがんワクチンで予防することが可能です。また、感染者は他の性感染症の可能性が高いと言われHIV（自費）と梅毒検査をおすすめします。

なお、この6型と11型には、発がん性はありません。

症状

陰部にやや硬いニワトリのトサカ状、またはカリフラワー状のイボができます。

また、炎症を伴いかゆみを訴える方もいます。

産道感染のリスク

このコンジローマが産道感染（母親の病気が、分娩時に産道で赤ちゃんに感染すること）すると赤ちゃんの喉に腫瘤を作り、声のカスレや呼吸障害、あるいは窒息の危険性もあり、妊娠中に発症した場合、分娩は帝王切開が推奨されます

治療法

イボに、ベセルナクリームを1日1回、週3回、就寝前に塗布し、起床後に石鹸などで洗い流します。治療は８週間から１６週間ぐらい続ける必要があります

他の治療方、切除や冷凍凝固は３割ぐらい再発しますが、べセルナクリームは13％です。ただし、このクリームは腟の粘膜に重篤な副作用を起こすことがある為、膣内のイボには使用できません。外側のイボを治療することにより膣内のイボが消えることもありますが、膣内にイボが多いときは切除や液体窒素による凍結治療が必要です。パートナーは泌尿器科を受診するようにしてください。

また、日本国内で承認されているガーダシルというワクチンは、コンジローマの予防効果があります。性交経験に関わらず26才以下全例推奨　27才-45才はやや推奨となっています。近い将来男児も定期接種化されるようです。ワクチンを学校で接種しているオーストラリアでは、コンジローマ患者が減少しています。

単純ヘルペスウィルスの感染症です。一度感染すると再発を繰り返すことが多く、疲れた時や特に妊娠時に注意が必要です。母子感染（おそらく産道感染）では赤ちゃんに局所症状あるいは内臓障害や脳炎などを引き起こす可能性があり適切な治療や産道感染を避ける分娩方式の選択、産後の赤ちゃんのケアなどの注意が必要です

症状が無い場合でもパートナーには感染するので、コンドームを使用するなどの感染予防策が勧められます。

しかし、再発した場合は、性器だけではなく、肛門・殿部・大腿部などにも症状が現れることがあるので、避妊具のみで完全に予防できるとは言い切れません。皮膚と皮膚で感染することもあるようで格闘技では体幹や右顔に感染すると言われています

症状

性器の痛みや腫れ、できものとして自覚することが多く、特に初めての感染の場合は、性行為後、2～10日間後に高熱やだるさを伴うことが多いです。

再発の場合、症状はそれほど強くありません。

検査方法

初発94％再発８５％のイムノクロマト法で検査します。さらに感度の高い核酸増幅法による検査もありますが、保険適応はAIDSなど免疫不全の方のみです。検査が陰性の場合、採血でHSV1と2の抗体検査を行います。HSV1は口唇ヘルペスの原因でもあります。初発の症状が強いですが、再発頻度が少ないです。一方、HSV２は再発を繰り返すことが多く、また、ウィルス排泄が多く感染力が持続します。梅毒やベーチェット病、帯状疱疹、薬疹、最近ではサル痘との鑑別が必要です　

治療方法

初発の場合：初感染時、十分に治療することにより再発の頻度を下げられる可能性があるので、抗ウイルス薬10日間（治療開始時に5日分処方し、5日後に追加処方しますので必ず来院してください）　内服します。米国のガイドラインで塗り薬は推奨されていません

再発の場合：抗ウイルス薬5日間　できるだけ早く来院してください。１日以内の治療開始が有効です

再発予防治療：１年に６回以上再発再発を繰り返す場合は抗ウイルス薬を1年間内服します。また、３年以上経過していて内服を間違いなくできる人は事前に処方しておくことも保険適応となっていますのでご相談ください。アメナメビルという１回内服で良い新薬が来年承認される予定です