高プロラクチン血症

高プロラクチン血症とは

プロラクチン(PRL)は、乳汁分泌ホルモンとも呼ばれる、母乳を作るホルモンのことです。授乳期間中にまた妊娠をしてしまうと、母体への負担が大きいことから、このホルモンが活発な間は、身体が自然と妊娠しにくい状態になります。一方で、授乳期間でもないのにプロラクチンの値が高い場合は、生理不順や不妊などの症状が出ることがあります。このような状態を高プロラクチン血症と呼びます。

頻度と症状

高プロラクチン血症は、生理不順の原因の9~17%に見られます。

さらに、乳汁漏出がある場合、3分の2程度が高プロラクチン血症です。

一方、乳汁漏出のみがある場合は高プロラクチン血症の確率は50%程度です。


検査方法

プロラクチン値は変動しやすく、特に夜間、食後、排卵周辺に高値になる傾向があります。

そこでできる限り、月経7日以内の起床後数時間後の食事前、午前10時~11時に採血するようにします。


プロラクチノーマが疑われる場合は

なお、複数回連続しての検査で100ng/ml以上になる場合は、プロラクチノーマがある可能性が考えられます。

プロラクチノーマとは、脳の下垂体にできる腫瘍のことで、高プロラクチン血症の原因になります。MRIを行い、内分泌内科医または脳神経外科をご紹介することがあります。


治療について

積極的治療を行わない場合

下記の条件に当てはまる場合は、再評価の後、積極的な治療を行わないこともあります。ただし経時的観察は必要です。

  • 生理が順調で、容認できる程度の乳漏症を有する閉経前の女性

  • プロクラチノーマを有するが、腫瘍のサイズが小さい場合で、閉経後の方


治療を行う場合

プロラクチノーマが認められた場合、ドパミン作用薬を用いた薬剤療法もしくは外科療法によって治療を行います。

基本的には、ミクロアデノーマ(サイズが1センチ未満の腫瘍)であっても、マクロアデノーマ(サイズが1センチ以上の腫瘍)であっても、ドパミン作働薬による治療が第一選択になります。

プロラクチノーマの薬剤治療期間は、最低1年は必要になります。

おおよそ3年間治療した後に、プロラクチン値が正常化し、腫瘍サイズが著明に縮小した場合は、減量あるいは中止に向かってよいと考えられています。


薬剤性高プロラクチン血症

下表の精神科、消化器科系の処方が原因となることがあります。


抗精神病薬・抗うつ剤:ドパミン受容体培抗薬

  • メジャートランキライザー

  • フェノチアジン系:クロルプロマジン、ベルフェナジン、チオリダジン

  • プチロノフェノン系:ハロベリドール


抗うつ剤

  • 三環系列:アミトリプチリン、イミプラミン

  • SSR/SNRI:パロキセチン、イミプラミン

  • その他:スルピリド


抗潰傷剤:ドパミン受容体培抗薬

  • H2ブロッカー:シメチジリン

  • 消化機能腸節薬:メトクロプラミド

  • その他:スルピリド


血圧降下剤:ドパミン合成阻害剤

  • レセルピン、メチルドーパ

診療時間

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