子宮頸がん(HPV)ワクチン

ヒューマンパピローマウイルス(HPV)

毎年、年間1万人の女性が子宮頸がんになり約3000人の方が若くしてお亡くなりになっています。2013年に報道された副作用につきましては、その後の解析で因果関係はなかったと結論づけられています。一方、子宮頸がんワクチンの定期接種を続けている日本以外の国では子宮頸がんの患者さんが激減していることが明らかになり、今世紀中に子宮頸がんは排除可能といわれています。さらに、コンジローマ、肛門がんの9割、咽頭がんの6割、陰茎がんの6割もHPVが原因であり、オーストラリアでは男児も接種の対象になっています

HPV子宮頚がんワクチン

性交経験前の接種することによりHPVウィルスの侵入を長期に渡って防ぐことができます。性交経験後は生涯で約3割の女性がHPV16または18に感染すると言われていますが、感染していない7割の方は性交経験後でも有効であると考えられます。統計的には性交経験前で9割近く、性交経験後で5割ほどの発がん阻止効果があると報告されています

子宮頚がんのワクチンは、中和抗体と呼ばれる抗体をつくることで、HPVウイルスの感染をブロックし、発がんを予防します。現在のところ、9年以上の間、ウイルスの感染をブロックし続けることがわかっています。

ワクチンの導入がまだ最近のため、このワクチンによって子宮頸がんの発症が減少したという結論には至っていません。(注 その後、北欧を中心に癌が減少したと発表されました。)しかし、ワクチン導入後に、発がん性HPV感染と前癌病変が減少していることが明らかになってきています。

 

  • 前癌病変の減少(米国、スコットランド、スウェーデン、オーストラリア)

  • HPV感染の減少(米国、イングランド)

  • 宮城県で要精査になった人が半数以上減少

子宮頚がんワクチンの種類

日本国内では、サーバリックスとガーダシルという2つのワクチンが承認されています。また、9価ワクチンは現在、日本国でのお取り扱いがございません。(注 9価ワクチンはすでに承認されています。2023年春に定期接種化されるようです)

子宮頸がんの半数以上(約60~70%)は16型と18型に因るものですが、サーバリックスとガーダシルは、ほぼ100%の確率で16型と18型に対する効果を発揮します。

ただし、この2つのワクチンを受けたからといって、全ての発がん性HPVの感染を予防できるわけではありません。ワクチンを接種した後も、定期的に子宮頸がん検診を受けるようにしてください。初回、1~2ヶ月後、6ヶ月後の計3回で完了です。

 

ガーダシル(1回¥16,810)

9価ワクチン(シルガード9)(1回¥37,400)

ワクチンの副作用

  • 注射部位の痛み、発赤、腫脹、全身の疲労感、筋痛や頭痛、胃腸の症状、関節痛、全身の発疹、発熱、蕁麻疹などが報告されています。

  • 接種直後に、失神による転倒や怪我の報告があるため、接種後30分程度は院内で安静にしていただき、様子を見る必要があります。

  • 帰宅後も注射部位を清潔に保ち24時間以内は過激な運動を控えてください。

重篤な副反応について

これまでに報告があった重篤な副反応は、アナフィラキシーは10万接種当たり0.1件、ギラン・バレー症候群は10万接種当たり0.06件、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は10万接種当たり0.04件、接種後に広範な疼痛または運動障害を中心とする多様な症状が認められた症例は10万接種当たり2.0件です。

ただし、子宮頚がんワクチンと、その因果関係や頻度ははっきりしていません。

これらの報告を受けて、現在日本では、子宮頸がんワクチンの積極的な集団接種は行われていません。(注 世界的には重篤な副作用を認めないこと、また、その効果のエビデンスが蓄積され定期接種化が再開しています。)

集団接種を受けられなかった世代は、後に(最も効果の高い10~14歳以降)ワクチンを接種しても、様々な原因で効果が低下してしまいます。そのため、集団接種を中止した世代は集団接種した他の世代に比べて、子宮頸がんが増加するだろうと言われています。

 

子宮頸がんワクチンの任意接種をご希望の方へ

子宮頚がんワクチンが、大多数の女性にとってメリットが大きい予防接種であることは、おそらく間違いありません。

しかし、重篤な神経障害などの副反応との因果関係、また、その頻度がはっきりわかっていないことをご承知いただく必要があります。

接種後は、ご家族などが接種者の様子を観察し、異変があればすぐ受診していただく必要があります。厚生労働省の感染症・予防接種相談窓口(03-5276-9337)などもご活用ください。

 

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