頭痛の種類
日本の人口の約3割が頭痛に悩まされており、その1/3が片頭痛、2/3は緊張性頭痛と言われています。
片頭痛や緊張型頭痛を「一次性頭痛」と呼び、くも膜下出血などの疾患による頭痛を「二次性頭痛」といいます。慢性的な頭痛の9割は一次性頭痛です。
20~40代の女性では5人に1人が片頭痛と言われます。緊張型頭痛も男性より女性が多く、たかが頭痛と軽視されがちですが、片頭痛は世界保健機構(WHO)による女性の健康寿命を短縮する疾患の上位とされています。
片頭痛と緊張型頭痛の典型的な症状
前兆のない片頭痛
片側性・拍動性で、4~72時間持続する比較的強い頭痛です。体を動かすことにより痛みを感じ、悪心を伴ったり光や音に過敏になります。
前兆のある片頭痛
主に閃輝暗転という目がちかちかする前兆があり、前兆の後、前兆のない片頭痛と同じ頭痛が生じます。
緊張型頭痛
左右両方にみられることが多く、比較的軽い圧迫もしくは締め付けられるような痛みが30分~7日持続します。体を動かすことにより、痛みが増すことはありません。
女性ホルモンと頭痛
片頭痛は、エストロゲンの影響が考えられ、初経がある10歳以降での女性の有痛率が上回り、エストロゲンが低下する生理の他、排卵・ピルの休薬期間・分娩後に悪化し、エストロゲンが高値を維持する妊娠中期以降には軽くなるという特徴があります。
エストロゲンの低下が片頭痛の誘因となる仕組みはわかりませんが、神経伝達物質への影響やエストロゲンの血管拡張作用などが考えられています。前兆のある片頭痛の方では、約2倍の脳梗塞リスクが知られていますが、エストロゲンを含む結合型経口避妊薬(oral contraceptives;OC)の使用でリスクが倍になります。そのため、前兆のある片頭痛の方はピルを内服できません。
月経と頭痛
生理中に起こる頭痛の約65%は、片頭痛であると言われています。あるアンケートでは生理中に片頭痛のある女性の78%は、頭痛を「生理痛の一種」と考えています。生理中の片頭痛は他の時期に比べ、より重くて持続時間が長く、繰り返し起こりやすいです。市販の痛み止めが効かない場合、トリプタン製剤という専用の頭痛薬を使用します。
更年期と頭痛
更年期もエストロゲンの変動が大きく、片頭痛が悪化しやすいです。更年期を過ぎた後は片頭痛が67%改善しますが、緊張型頭痛は改善が27%、悪化ないし不変は73%です。ホルモン補充療法を受けている方は前兆の有無にかかわらず、頭痛が悪化する可能性があり、脳梗塞のリスクを考慮して、使用中止を検討する場合があります。
片頭痛の予防
片頭痛が月に2回以上ある方は、片頭痛を起こさない治療を開始するとよいかとおもいます。β遮断薬(プロプラノロール)、カルシウム拮抗薬、アミトリプチン、バルプロ酸などを数ヶ月服用します。
診療時間
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